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大畑富雄さん
全国吟道大会に出場した時の様子
詩吟を始めて50 年。太美道場でも25 年指導を続け、詩吟を後世に伝えるため模索する大畑富雄さんにお話しをお聞きしました。
詩吟は、青山に住んでいた30代の頃に地域の方に誘われて始めました。誘われた当初は詩吟に対してあまり関心を持っていませんでした。なぜ始めたのかを思い返してみると、小学5~6年生の頃に青山での村祭りの舞台で詩吟と剣舞が披露されていたので、その時の良い印象があり、抵抗なくすんなりと取り掛かることができたのかもしれません。その後、浜益や平取町への転勤を経て、平成9年に太美に越してきてました。平成11 年2月には町議会議員の方と日本詩吟学院岳風会太美道場を立ち上げ、私が先生となって指導したのを皮切りに、太美での活動は今年で25 年になります。
詩吟を長く続けてきた大きな理由の一つは、多種多様な方とのお付き合いの幅が広がることです。私が詩吟を始めた当初、学校の先生や床屋の方、議員の方など様々な職種の方がいたので、詩吟を通して多くの方と関わりを持つことができました。 また、半年ごとに昇段するための審査会があったので、試験に向けて毎日が忙しく充実していました。学校を卒業してから試験を受ける機会はあまりないので、試験に受かったときの喜びを味わうことができるのは、とても魅力的でした。次の段を狙って努力していくことが励みにもつながっていました。詩吟は、5言絶句(五字×四句=20 文字)と7言絶句(七字×四句=28 文字)の短い漢詩を主に吟じるのですが、2句3息にして一区切りごとに呼吸するほか、間延びをしない、止めるところでしっかり止めるなどがポイントとなります。また、暗記をする必要もあります。ただ、75 歳以上は見ても良いことになっています。声の出し方としては、叫んだり怒鳴るのではなく、腹の底から力強い声を出すということが必要です。なかなか悠々といかないので、取り組みがいがあります。
詩歌に親しむことにより正確な文字や美しい言葉を覚え、歴史や文学の教養が豊かになり、生活にうるおいが満ちてきます。
・日々の稽古を通じて精神修養もでき、情操豊かで行動的な人柄となり、たくさんの友達、仲間に恵まれます。
・漢詩や和歌、俳句など声に出して読むことで記憶力が良くなります。
・腹式呼吸と声を出すことで健康促進につながります。
・結婚式や宴会で披露できれば喜ばれます。
・歌が上手になるので、音痴と言われる方も治ります。
詩吟の魅力
年齢を問わない・・・詩吟は一生できます。同じ詩でも経験や年代により、それぞれ違った深さや味わいが生まれます。詩吟には吟じ終わりがありません。幾つになっても世代を越えて長く楽しめるのが、詩吟最大の魅力です。
お金がかからない・・・詩吟はきょうほんさえあればok。持ち運びが楽で、どこでも稽古&披露することができます。
着物が着られます・・・詩吟の発表では着物を着ます(着なくてもok)着物を着たいと思っている方には絶好の機会です。
一芸として披露できる・・・結婚式や宴会などで披露でき、喜ばれます。
段位・資格取得ができる・・・詩吟では審査試験を受けて段位や資格を取ることも可能です。履歴書にも書けるので就職活動や自己アピールにも有利です。師範免許をとれば教室を開くこともできます。
詩吟の効能
ストレスの発散になる・・・詩吟は大声を思いっきり出すのでストレス発散になります。
姿勢が良くなる・・・お腹から響くような声を出すには姿勢が大事。詩吟をするとおのずと姿勢が良くなり、見た目も美しく若々しさを保つことができます。
健康促進になる・・・腹式呼吸によって内臓が丈夫になります。また、のどが鍛えられるので誤嚥性肺炎を予防し、健康促進につながります。
歌が上手くなる・・・詩吟では低音から高音まで声を出すので音域が広がり、腹の底から響かせる発声法や「揺らし・こぶし」など幅広い発声法が身につきます。
声が変わります・・・詩吟の稽古では、人に届く声の出し方出し方の練習を行います。声が通るようになり、声が人に伝わりやすくなります。
度胸がつく・・・人前で大きな声を出す機会が増えるので度胸がつき、人前で話すことに緊張しなくなります。
集中力がつく・・・夢中になって吟じていると「気が付いたらとても集中してた」ということがあります。詩を大きな声で暗記して吟ずるには大変な集中力が必要ですが、そんな集中力が自然と身につきます。
記憶力がつく・・・詩吟の発表では詩を暗記して吟じているので、記憶力を鍛えることができます。また、漢詩や和歌、俳句を声に出して読むことで読解力が身につき、脳の活性化につながります。
古典の教養が身につく・・・詩吟で吟じる詩歌は、百年、千年もの間歌い継がれてきた名詩ばかりです。教養が身につくことは勿論のこと、美しいものに触れると「心が豊かに」なり、日々の生活にうるおいを与えます。
礼儀作法が身につく・・・詩吟は日本の伝統文化です。吟じるのにも礼儀作法が必要です。お辞儀の仕方、人前での立ち居振る舞いなど、日常にも必要な礼儀作法が身につきます。
現在、新型コロナウイルスの影響による行動制限を受けたため、詩吟全体の活動が低迷しています。若い人たちが詩吟を始めていただくためにも、学校の授業の中に詩吟を取り入れるなどをして、子どもたちが詩吟への興味・関心を持つきっかけを作れれば、裾野が広がると思います。また、日本詩吟学院岳風会では精神修養として、人格を高めるという大きな目標を掲げており、詩吟を通して同じ目標を掲げる仲間を増やし、世の中を良くできたらと願っています。
札幌中央朗吟会は2022年に創立65周年を迎えました。
毎週木曜日の午前10時から12時までの間に、西当別コミュニティーセンターの小会議室で稽古を行っています。
問合せ:☎ 26 - 2175(大畑)