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桧山雅一さん
蕨岱で有機農業のお米を生産し、当別町クリーン農業協議会の会長も務める桧山雅一さんにお話しをお聞きしました。
先代の父から40年ほど前に農場を継ぎ、平成20年から化学肥料や農薬、除草剤などを一切使用しないJAS有機農業によるお米の生産を行っています。
有機農業を始めたきっかけは、農薬を使用した際に自分自身が体調を崩すなど体の異変を感じていたことや、平成7年に食糧管理法が廃止され、政府への販売ではなく個人での販売が可能となり、販売経路の選択肢が増えたことです。また、お米を販売しているうちに、消費者の方が低農薬のお米を求める気持ちが強いことに気付いたことも1つの要因です。
当初は完全な有機農業ではなく、田んぼ一枚で農薬を減らしてスタートしました。出来上がったお米で残留農薬検査をしたところ、農薬や化学肥料の使用が少ない特別栽培米としての一定基準をクリアしていました。また、飲食店への販売経路も確保することができたので、本格的に有機農業に取り組みました。
有機農業は除草がとにかく大変でした。本州の専門家に除草の指導を受けましたが、本州と北海道では気象条件が全く違うので、思うようにはいきません。機械の導入や情報収集、試行錯誤を繰り返し、自分で納得する技術を確立するのに10年ほどかかりました。
カメムシによる虫食いの被害も多いので、色彩選別機を使って精米をする前に選別し、虫食いのお米を取り除いています。昔は、虫が食べているから安心というイメージがあったかもしれませんが、今は見た目も味もクオリティを高くする必要があるので、ブランド化を図るためにも対応が必要です。
有機の田んぼで除草した後の様子
昨年9月に、私が会長を務める当別町クリーン農業協議会を設立しました。メンバーは私を含めて7人。国では、2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%にするなどの目標を掲げています。
協議会では、学校給食に有機の米・小麦・野菜・卵を取り入れるなど、まずは町民の方に食べてもらえるように、学校給食への食材提供を進めたいです。
当別町クリーン農業協議会設立総会の様子
協議会メンバーの菅村さん 農薬・化学肥料は一切不使用の有機栽培で作った秋蒔き小麦
協議会メンバーのアグリコラ代表 水野さん ゲージフリー有機の卵と平飼いの鶏 アニマルウェルフェアの考え方に対応した自由な鶏だからこそ健康な卵になるのです。
協議会メンバーの今井さん 有機栽培米で造った日本酒
はじめから有機栽培をする人は慣行栽培を完全に悪者扱いしてしまう傾向があります。もちろん、環境汚染などの良くない部分もありますが、化学肥料や農薬がない時代に始めていた人が、機械もなく馬すらない時代に化学肥料と農薬が導入されて、格段に生産性が上がり農業経済がうるおってきた事実があります。人間は農業が発展していく中で、化学肥料などを使いすぎたら悪いということは承知していますが、消費者に農作物を供給するためには、慣行栽培も必要です。そのため、化学肥料が良い悪いという話はできないのではないかと思います。
※慣行栽培とは、法律に従いながら農薬や肥料を使用して行う一般的な栽培方法です。
消費者とつながることが大事だと思うので、生産者・消費者・流通・行政など官民一体で有機農業を広めることができれば面白いと思います。
現在、世界を相手とした市場に将来性を感じており、世界中の人と対話ができる仮想空間(メタバース)上に、桧山農場のブースを作ってお米の販売サイトにつながるようにしています。その中で、世界中の人に当別のことを知ってもらえる一つのきっかけとなるようなお米を作りたいと考えています。
桧山さんが運営する桧山農場のホームページです。通販や作っているお米について掲載されていますので、ぜひご覧ください。