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オーボエ奏者
水野麻衣子さん
12月に行われた「TOBETSUプレミアムコンサート」に出演したほか、中高生に演奏指導も行っているオーボエ奏者の水野麻衣子さんにお話を伺いました。
当別町出身で、当別中学校吹奏楽部で先輩に勧められたことがきっかけで、オーボエに出会いました。合奏の中でソロを担当する機会が多い楽しさと、自分のペースでのびのびと練習ができる環境のおかげもあって、すぐにオーボエにのめり込んでいきました。高校でもオーボエを続け、東京芸術大学に入り、大学卒業後も東京で9年間オーボエ奏者として演奏や指導をしていました。現在は当別町に戻り、演奏活動と中高生への指導を続けています。
TOBETSUプレミアムコンサートでの水野さん
オーボエは、音色に哀愁を帯びていて、色々な感情を豊かに表現できる楽器だと思います。例えば、悲しみの感情にも様々な種類がありますが、その違いを繊細にまた幅広く表現できることがオーボエの大きな魅力です。
また、オーボエには「リード」と呼ばれる“葦”という植物を二枚合わせて薄く削った歌口部分があり、プロの演奏家は自分に合わせてこれを手作りしています。葦の材質や、0.01ミリ単位の厚さの違いによって音色も吹奏感も大きく変わるので、リード作りも日々の練習と同じくらい重要です。このリード一本を作るにも沢山の工程があり、何万通りともいえるパターンがあるので、オーボエは演奏者によって音色の違いが一番顕著に表れる楽器でもあります。
リードは、始めに丸材という素材を3分割にして、長さや厚さを成形して作成します。厚さを調整する作業は0.01ミリ単位を調整するので、専用のガウジングマシンという機械を使って行います。私は厚さが0.57ミリになるように設定して作成していますが、これを0.55ミリまで薄くするだけで、音の感触が軽く、そして明るくなります。薄くすると音を出しやすくなるので、長時間の演奏の際に、体力をより温存できます。さらに、リードに装着するチューブという部品があり、これもドイツ製のものかフランス製のものかによっても、音に違いが出ます。私はドイツ製のものが好みですが、フランス製は少し明るい音になりますので、吹奏楽ではフランス製が向いていると私は思います。
水野さんが使用しているガウジングマシン
水野さんが所有しているリード
オーボエは息の使い方が独特です。トロンボーンのような管楽器と違い、リードの息が入る穴がとても小さく、最初に吸った息を少しずつ使いながら演奏するので、吹いている時は息を止めているような状態に近いです。そのため、曲のどの位置で息を使い切り、そしてどの位置で再び息を吸うのかを決めてから演奏に臨むことが大切になります。息を吸って、そして吐くというブレスのコントロールは、ずっと意識して練習しています。
また、練習の際は、息が真っすぐに伸びているかも意識しています。一音一音で途切れるのではなく、流れるような音楽を表現するためには、息でその流れを作るということも大事なので、余分な力を抜いて歌うように演奏するよう心がけています。
オーボエの指導では、子どもたちに楽しむ気持ちを持って演奏してもらえるよう心がけています。その気持ちが日々の努力を継続する原動力や向上心にもつながります。また、どのようにするともっと良い演奏ができるのか、感覚的なものをわかりやすく言語化しながら、その感覚をその場で体感できるよう意識しながら指導しています。楽器演奏では感覚による部分が多く、指導を始めたばかりの頃はその感覚を言葉にして伝えることに苦労しましたが、イメージしやすいものに例えたり、体の使い方や音楽理論を工夫しながら伝えることで、子どもたちが納得できる瞬間が増えてきました。自分で演奏する楽しみはもちろんありますが、今では子どもたちに教えることも楽しく、充実して続けられています。
Berrichアンサンブルオータムコンサートでの水野さん
今後も指導を続け、将来音楽の道に進みたいと思っている子どもたちをサポートしていきたいです。また、自身の演奏活動にも力を入れ、ソロコンサートなどの演奏会も企画して、様々な曲に挑戦していきたいです。
懐かしい曲を耳にしたとき、当時の記憶や出来事を鮮明に思い出すきっかけになるように、音楽は人生の中の思い出に彩りを与えて現在に繋げる力があります。また時には、自分の気持ちを盛り上げたり、辛いときには寄り添いながら支えてくれる力もあります。ぜひジャンルを問わず、たくさんの音楽に触れて、お気に入りの音楽を見つけてもらえたら嬉しいです。
オーボエ界の巨匠と呼ばれる、ハインツ・ホリガ-(Heinz Holliger)氏の演奏に惹かれました。木管楽器の中で一番難しい楽器はオーボエと言われていますが、彼はその難しさを感じさせず、まるで話しているかのように自然な流れで演奏している点が素晴らしいと思います。やや明るい感触の音色ですが、悲しみの感情を表現しながら、その奥に美しさがどんどん見えてくるような深い音色だと思います。絵を見ているくらい鮮明で彩り豊かな演奏をするので、彼の演奏はたくさん聞きました。
チャイコフスキーの「交響曲第5番」という曲は私にとって特別な曲です。初めてオーケストラで演奏したのがこの曲だったので、一生懸命練習したことを今でも覚えています。4つの楽章から構成されていて、気持ちを盛り上げてくれる、私にとっては応援歌のような素敵な曲ですのでぜひ一度聴いてほしいです。
最初はリードのみで練習することをおすすめします。上と下の唇を歯を包み込むように巻いて、そのまま柔らかく咥えて吹きます。リード単体で「ド」の音を安定して出せるような感覚を身につけましょう。