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札幌東商業高校軽音楽部 バンド名「チャクラム」ドラム担当 斉藤 洸喜 さん
「第7 回全道高等学校軽音楽新人大会」と「第9回全道高等学校軽音楽大会」のコピー部門において、史上初の2冠を達成した札幌東商業高校軽音楽部の斉藤洸喜さんに話を伺いました。
小学5年生の時に、当別中学校吹奏楽部の演奏会に参加したいと思ったことがきっかけで、音楽を始めました。最初は打楽器全般を演奏していましたが、中でもドラムが一番楽しかったので親に電子ドラムを
買ってもらい、YouTube を見たり、初心者向けの本を読んだりして練習を重ねました。中学では吹奏楽部に入部しましたが、コンクールに出場することがメインだったのでドラムを叩く機会が少なく、2年生の時には他の打楽器の練習が忙しくなり、ドラムに関する情報をすべて遮断していた時期がありました。その後、久しぶりにドラムを叩いた時、感動の再会のような衝撃が全身を走りました。長い間離れていた反動で一番楽しいのはこれだったと改めて認識し、再びドラムの練習に力を入れるようになりました。
高校では軽音楽部に入部し、バンドを結成しました。学校には340 人程度収容できるホールがあり、そこで練習やライブ、他校の生徒との交流会を行っているほか、札幌のスタジオで大人と一緒にライブをしています。演奏に対する意識が大きく変わったのは1年生の半ば頃でした。麻生のスタジオで現在の師匠と出会い、師匠から「個人練習は自分と向き合うもので、それによって余裕を作り、バンドではメ
ンバーと音を合わせるのを楽しむ」という教えを受けました。メンバーとの演奏をやりやすくする方法や、どのようにしたら観客が楽しめるかを考えるために、個人練習で技術を磨き、演奏に余裕を持つことが必要だと学びました。この考え方で本番を意識して練習を積み重ねた結果、全道大会で賞を獲得できるようになりました。ライブは何回経験しても緊張しますが、ステージで1音目を奏でると緊張が楽しさに変わり、自分が楽しむことで観客も楽しむことができ、それが自分の演奏をさらに楽しむ原動力となりました。
2つの全道大会でグランプリを獲得したのは率直に嬉しかったですが、他の高校生と一緒に演奏できたことや、僕たちのバンドの演奏で観客が一番楽しんだからグランプリを獲れたと思うので、そこが特に嬉しいです。「第7 回全道高等学校軽音楽新人大会」の後には高知県で開催された「第2回全国軽音楽大会」に出場しました。全員が座席に座らず、大会であることを忘れて他のバンドの演奏を楽しむ雰囲気があり、まるでライブのような盛り上がりを見せていて、楽しい体験でした。
現在、ドラムを始めてから8年経ちました。8年経つと、楽譜を見るよりも音を聞いて耳コピをするようになってくるので、YouTubeでは本家の楽曲やライブ映像を聞いてこんな感じでやってるんだなと雰囲気を掴むために見ています。特に、お気に入りのドラマーの動画は勉強になります。僕のライブはみんなが楽しむことをイメージして演奏していますが、その方はそれを具現化していて、最初に動画を見た時は雷が落ちたような衝撃を受けました。横のメンバーを見て楽しそうにドラムを叩き、ドラムを叩くことがこの世で一番楽しいんじゃないかと思えるほどで、見てると僕も楽しくなりました。それが羨ましくて、どうしたらこんな風になれるんだろうというように、どんどん模索して今が出来上がりました。
ドラムは他のメンバーに音を合わせることが非常に難しいです。技術は何回でも練習してできるようになれば良いですが、演奏に対しての考え方が同じではないので、一つのフレーズに対しても楽しそうに弾く人がいれば、しんみりと弾く人もいます。なので、フレーズに対してどのようなイメージをもって弾いているのかを確認したり、その人の癖を把握したりすることがとても重要です。ですが、本番になると緊張の影響で、練習とは違う演奏になることがあるので大変です。ただ、それも含めて演奏するときに楽しむことが大事だと思います。
8月に開催するライブで軽音楽部を引退します。悔いが残らないように最大限の力を発揮し、全力で演奏することが目標です。その後は受験勉強が始まるので、一時的に音楽から離れますが、受験が終われば、大人達と一緒に演奏したり、大学でサークルに参加するかもしれません。社会人になったら再びバンドを始めるかもしれません。いずれにせよ、どんな形であれ音楽と関わり続けたいです。