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マーク・ギャニオンさん
町内のカエデからとれる樹液でメープルシロップを作るマーク・ギャニオンさんに話をお聞きしました。
カナダのケベック州出身で、自然に囲まれた環境で育ちました。自然が大好きで、7歳の頃には観光客を相手に森の案内をしたことがあります。ケベック州は、メープルシロップの生産が盛んで、世界の生産量およそ70 パーセントを占める地域です。父も趣味でメープルシロップを作っていたので、私も手伝っていました。
初めて北海道に来たのは約20年前で、ケベック州と気候や自然が似ていると感じました。妻との結婚を機に札幌に移住し、メープルシロップを販売する傍ら、道内各地でメープルシロップ採取の技術指導をしていました。その中で、自分もメープルシロップを作りたいという思いが生まれ、場所を探していると、札幌近郊で自然豊かな当別町の森を見つけました。
当別町は、夏は暑く冬は雪が多いところや、樹液がとれる樹齢30 年以上のカエデが多いことから、メープルシロップを作るための環境として理想的でした。2023 年には、メープルシロップ製造施設兼拠点として、当別町に「北海道メープルハウス」を造り、活動を開始しました。
北海道メープルハウス
ボイラー
樹液が出そうなカエデを夏の間に探し、赤いリボンを結びます。そして、2 月から3 月中旬までの間にリボンが結んである木に小さな穴をドリルで開け、蛇口とバケツをセットして採取します。この作業のために、夏は雑草や笹の除去、倒木の排除などの森のメンテナンスを行う必要があります。
ギャニオンさんが架けた橋
1本のカエデからは65 リットル前後の樹液がとれますが、糖度は1~1.5度です。そこからボイラーで薪を燃やして燻し、煮詰めると、最終的に販売できるのは1リットルになります。ガスや電気を使って煮詰めることもできますが、薪を燃やして煮詰めたメープルシロップはスモーキーな味がするのでより美味しいと思います。 販売されているメープルシロップは産地が異なっても糖度は変わりませんが、産地によって味が違い、当別町産のメープルシロップは、バニラの風味があってとても美味しく、昨年の分はすべて完売しました。
樹液は毎日採取できるわけではなく、気温が氷点下を下回ったり暖かくなりすぎたりすると採取はできません。昨年は80 本のカエデから採取しましたが、今年は250 本のカエデから採取する予定です。
メープルシロップは、パンケーキやワッフルにかけて食べるだけではありません。日本食と相性が良いと思います。例えば、醤油と混ぜると照り焼き風のソースが作れるほか、鮭にメープルシロップやハーブ、塩を加えると程よく酸味が効いた優しい味になるのでおすすめです。
山に向かうギャニオンさんと愛犬サップ
山まで距離があるのでスノ―モービルで向かい、山ではスノーシューズを使って歩きます。
スノーシューズ
木に穴を開ける様子
セットされたバケツ
作業は急斜面でも
森の散策ツアーなどのイベントを開催し、子どもたちに参加してもらうことで、森の大切さを次世代に伝える手助けをしていきたいです。また、人と森が共存するための中心的なものとしてメープルシロップを位置づけ、この素晴らしいメープルシロップがあるからこそ森を守らなければならない、という関係性を築き上げたいと考えています。そして何よりも、愛情を込めて作った当別町産メープルシロップを、新たな地域特産品として広めることが目標です。さらに、カナダが培ってきた伝統と技術を学ぶためにも、これからも勉強し続けたいと考えています。
・カエデ樹液収穫の森を散策
・メープル工房の見学
・カエデ樹液、北海道メープルのテイスティング
などを行うイベントを行います。詳しくはInstagramまたはチラシをご覧ください。
GAGNON(Instagram) 、イベント情報 [148KB]
森に入る参加者たち
樹液を確認する子どもたち
樹液のテイスティング
煮詰める工程を説明するギャニオンさん
ギャニオンさんが運営するホームページです。ご覧ください。
GAGNON MAPLE